夫婦が離婚を決断する前には、話し合う必要がある問題がいくつも出てきます。例えば、離婚後の仕事や生活費の問題、子供の教育や養育、親の介護はどちらが負担するか、などです。離婚後のトラブルを少なくするためにも離婚協議書を作成することが必要です。
ポイント
離婚協議書の内容について
①親権者の指定
未成年の子供がいるときには、親権者を指定すること、合わせて養育費と面会交流の事柄も考えておくといいでしょう。
親権者の指定については、必ず離婚前に決めなくていけません。親権者が決まらないと養育費や面会交流を決めることもできないため、最初に話し合うべき事柄といえます。
離婚協議書には、どちらを親権者に指定するか記載することになります。一度、親権者を決めてしまうと、家庭裁判所の許可なく親権者を変更することができないので慎重に行うことが大切です。
②養育費について
養育費は、子供が社会的に自立するまでに必要とされる費用になります。養育費の金額の取決めには、養育費算定表という客観的な指標もありますので参考にするとよいかと思われます。
参考 養育費算定表(裁判所HP)
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③面会交流について
面会交流とは、子供と離れて暮らしている親が子供と定期的に面会して交流を持つことです。電話、手紙等、間接的な交流も面会交流に含まれます。
面会交流は、養育費と異なり客観的な指標がないので、子供が小さいときには、親の態度や感情に左右されてしまうため、取決めが難しいかもしれません。
★離婚協議書には、面会交流の回数、方法、場所、宿泊の可否等を記載しておくといいでしょう。
④財産分与について
財産分与は、婚姻期間中に形成した財産を分配することになります。この財産のことを共有財産といい、財産分与の対象になります。
婚姻前から形成していた財産、相続財産、別居後の財産は、夫婦が形成した財産といえないため、財産分与の対象になりませんので注意しましょう
男女平等の観点から今現在は、5対5の分配が原則となっています。婚姻年数の長い夫婦は、共有財産が大きくなることが多いため、まず共有財産について書き出すといいでしょう。
旧友財産の例:預貯金(現金)、不動産、車、保険、有価証券、年金分割など
★預貯金(現金)の支払いの場合には、金額、支払期限、支払方法を、そして不動産の所有権を移転する場合には、所有権移転の年月日、登記手続きの期限、公租公課や住宅ローンの負担について記載しておくといいでしょう。
⑤慰謝料について
慰謝料は、精神的苦痛に対する損害賠償金のことです。これも客観的な指標はありませんが、判例や実務上、数十万円~500万円の範囲が多いです。婚姻中の有責行為や不法行為に対し、慰謝料を設定することが多く、不貞行為に伴う慰謝料の件数が最も多いといえます。
★離婚協議書には、慰謝料の金額、支払期限、支払方法、支払いが遅れたときの遅延損害金等を記載しておくといいでしょう。
⑥清算条項について
清算条項とは、離婚協議書の記載事項のほか、双方に債権債務が存在しないことを確認する条項になります。清算条項を設けることにより、離婚協議書に記載していない金品の請求、要求が認められなくなります。
離婚協議書を公正証書にすることが大切です
このように離婚協議書を作成したら、取り決めた内容を公正証書にしておくことをおすすめします。
離婚協議書だけでは強制執行できません!
もし、養育費が未払いになった場合、離婚協議書だけでは強制執行ができません。調停や裁判を通じて請求を行う必要があり、実際に支払われるまでにかなりの時間がかかってしまいます。
公正証書とは
公正証書とは、裁判官・検察官・法務局長などの法律の専門家の中から法務大臣に任命された公証人が作成している文書のことです。公正証書は、公証役場で作成します。公証役場は全国の都道府県にあり、どこの公証役場でも作成できます。「公正証書」には法的効力や執行力があり、養育費の請求については、強制執行が可能となります。
公正証書があれば、裁判所を介さずとも強制的に給料や銀行口座など、相手の財産を差し押えることが可能になります。とはいっても、相手が内容証明書による養育費の請求に応じない場合、公正証書の作成にも応じないと思われます。そのため、通常は調停を申し立てることになります。
公正証書を作成するメリット
公正証書を作成するメリットは、公正証書に相手方が養育費を支払わない場合、強制執行に応じる旨の条項を入れることで、相手方が養育費を支払わない場合、裁判をしなくても、強制執行ができるといった点です。
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